債務整理の対象となる借金や負債、対象とならない借金の種類を解説

債務整理をするとほとんどの借金や負債を減額・免除してもらえます。
ただし中には減免対象にならないものがあるため、事前に正しい知識をもっておきましょう。
今回は債務整理の対象になる借金や負債と対象外の負債の種類について、解説します。

借金トラブルにお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。

債務整理の対象になる借金や負債

債務整理をすると、ほとんどあらゆる種類の借金や負債を整理できます。

債務整理の対象となる負債一覧

以下のような負債はすべて債務整理の対象です。

  • 消費者金融からの借金(キャッシング、リボ払いなど)
  • クレジットカードのキャッシング
  • クレジットカードのショッピング
  • 銀行カードローン
  • 未払い家賃
  • 未払いスマホ代、インターネット通信料
  • 光熱費
  • 上水道料金
  • 奨学金
  • 住宅ローン
  • 車のローン
  • 事業用の借り入れ
  • 連帯保証債務、保証債務
  • 個人からの借入金
  • 未払いの買掛金
  • 未払いリース料
  • 手形債務
  • 会社名義の債務(借入金、未払金)
  • 相続してしまった借金や負債

「借金」は債務整理で解決できる

消費者金融からの借り入れなど、いわゆる「借金」はすべて債務整理の対象です。
キャッシング、リボ払い、カードローン、奨学金など借金にはいろいろな種類がありますが、すべて債務整理で解決できると考えましょう。保証債務も債務整理で減免してもらえます。

借金以外の負債も解決できるケースが大半

借金以外の未払い家賃や光熱費、通信料金などの負債もほとんどが債務整理の対象です。
たとえば自己破産をすれば、すべて免除してもらえます。

ほとんどの借金トラブルは適切な方法で債務整理を行えば解決できます。負債がかさんで返済できなくなっているなら、一人で悩まず弁護士へ相談しましょう。

債務整理の対象にならない負債

一方、以下のような負債は債務整理の対象になりません。

  • 税金、保険料(下水道料金含む)
  • 罰金
  • 養育費や婚姻費用、扶養料
  • 悪意で加えた不法行為にもとづく損害賠償請求権
  • 故意や重過失で加えた生命身体に対する不法行為にもとづく損害賠償請求権

公的な支払いや罰金

税金や保険料、罰金などの公的な支払いや債務はたとえ自己破産しても免除してもらえません。破産後も分割払いなどで支払う必要があります。刑事罰としての「罰金」を支払えなければ労役場に留置されて強制労働させられる可能性があります。

養育費や扶養料

養育費や婚姻費用、扶養料も債務整理では解決できません。相手方と話し合って減額・免除してもらいましょう。将来分が高額で払えないなら家庭裁判所で養育費減額調停(婚姻費用減額調停)を申し立てて減額決定してもらう必要があります。

一定の不法行為にもとづく損害賠償請求権

悪意で加えた不法行為にもとづく損害賠償請求権や故意重過失で加えた生命身体に対する不法行為にもとづく損害賠償請求権も債務整理で減免してもらえません。

悪意で加えた不法行為にもとづく損害賠償請求権とは

悪意で加えた不法行為にもとづく損害賠償請求権の典型例は「犯罪行為による損害賠償請求権」です。たとえば横領や窃盗、詐欺などで相手に迷惑をかけた場合の損害賠償請求債務は自己破産しても免責(免除)されないと考えましょう。

一方で、不倫の慰謝料や一般的な契約不履行にもとづく損害賠償債務などは通常「悪意」によるものとはいえず、自己破産で免責してもらえます。

故意重過失で加えた生命身体に対する不法行為にもとづく損害賠償請求権とは

故意や重過失によって加えた「生命身体に対する不法行為」による損害賠償請求権も自己破産で免責してもらえません。
たとえば「重過失による人身事故」で被害者に発生させた損害賠償債務は自己破産しても払わねばならない可能性があります。故意の暴行や傷害による損害賠償債務も同様です。

一方「単なる過失」による損害賠償債務は免責されます。たとえば「通常の過失」による人身事故の損害賠償債務であれば免責されますし、物損事故にもとづく損害賠償債務も免責対象です。

損害賠償債務が免責されない場合には、自己破産後に被害者と話し合って個別に支払い方法を決定する必要があります。

債務整理の種類によって取り扱いの異なる債権

債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3種類があります。
税金や保険料などの他にも「債務の種類」によって債務整理の対象にならないものがあるので、以下でみていきましょう。

自己破産できない可能性のある借金や負債

自己破産には「免責不許可事由」があります。
免責不許可事由とは「該当すると免責(負債を0にしてもらう決定)を受けられない事情」です。
免責を受けられなかったら借金が免除されず全額残ってしまうので、自己破産しても借金問題を解決できません。

たとえば以下のような場合、「免責不許可事由あり」と判断されます。

  • ギャンブルで借金
    パチンコやパチスロ、競馬や競輪、宝くじ購入などのギャンブルで過大な借金をすると免責不許可事由に該当します。
  • 浪費で借金
    収入に見合わない高額な商品を購入したり豪遊したりして借金すると、免責不許可事由ありと判断されます。
  • 投資で借金
    仮想通貨、FX、先物取引で借金した場合などにも免責不許可事由となります。

上記の事情で借金をすると、自己破産で免責してもらえない可能性があります。

裁量免責

ただし自己破産には「裁量免責」という制度があります。裁量免責とは、裁判所が裁量によって債務者を免責できる制度です。
免責不許可事由があっても本人がしっかり反省していて問題行動をやめており経済的に再生できると考えられる場合、裁量免責を受けられます。
ギャンブルや浪費、投資などで借金していても実際にはほとんどの事例で裁量免責されており、自己破産申立て件数のうち95%程度は毎年免責されています。

「浪費やギャンブルで借金すると自己破産できない」というのは誤解といえるでしょう。

またどうしても自己破産できない場合でも「個人再生」や「任意整理」で解決できる可能性があります。これらの債務整理手続きには免責不許可事由に相当する制限がありません。

パチンコやFX、オンラインカジノなどで借金してしまってもあきらめずに弁護士へ相談しましょう。

任意整理できない借金

借金の種類によっては「任意整理できない」ケースがあります。
任意整理では「個別に債権者と交渉」しなければなりません。相手が納得しなければ債務整理に失敗してしまいます。
たとえば以下のような場合、任意整理は難しくなります。

交渉に応じない債権者

任意整理は、相手方が交渉に応じない強硬な姿勢をとると適用できません。
たとえば以下のような負債の場合、任意整理は難しくなります。

  • 一部の貸金業者
    ほとんどのカード会社や消費者金融会社などの貸金業者、銀行などの金融機関は任意整理の話し合いに応じますが、中には強硬な姿勢をとり、任意整理に応じないものがあります。
    また通常は話し合いに応じる貸金業者でも、もめてしまって話し合いが難しくなるケースもあります。たとえば借り入れをして一度も返済していない場合やすでに給料の差し押さえを受けている場合などには話し合いによる解決が難しくなりやすい傾向があります。
  • 強硬な個人からの借り入れ
    親や親類、友人知人や元恋人など「個人からの借り入れ」であっても債務整理の対象になります。ただし任意整理できるかどうかは相手方次第です。
    利息カットや元本減額、支払期間の延長など、相手が応じなければ任意整理はできません。強硬に一括請求を求められたら任意整理はできなくなります。
  • 奨学金
    奨学金にはいろいろな借入先がありますが、特によく利用されているのは「日本学生支援機構」が提供するものです。
    日本学生支援機構は独自の「減額償還」や「償還期限猶予」などの制度をもうけていますが、個別の任意整理には対応していません。利息のカットや元本減額などを求めても応じてもらえないと考えましょう。
    奨学金の減免を求めたいなら個人再生または自己破産を申し立てる必要があります。
  • 貸金業者ではない負債で債権者が強硬な態度をとるもの
    未払い家賃や未払い光熱費、未払いの買掛金などの「相手が貸金業者ではない負債」については、相手方の態度次第で任意整理できるかどうかが変わります。
    相手が柔軟に対応してくれれば利息・元本のカットや支払期間の延長ができる可能性がありますが、相手が強硬であれば任意整理できません。
    その場合、個人再生または自己破産で整理する必要があります。

個人再生できない場合

個人再生の中でも原則的な「小規模個人再生」の場合、「過半数の債権者が反対しないこと」が減額のための要件となります。
過半数の人数や債権額の債権者が再生計画に反対すると債務は減額されません。その場合、給与所得者等再生や自己破産を適用して解決する必要があります。

借金を払えないなら債務整理を

債務整理の対象になる負債は「借金」だけではありません。銀行カードローン、クレジットカード、リボ払い、未払い家賃などほとんどを整理できます。すでに給与差し押さえを受けていても解除できるのであきらめる必要はありません。名古屋、東海地方で借金トラブルにお悩みなら、1人で悩まず名古屋ヒラソル法律事務所までご相談ください。

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